ひさしぶりに恋人がいない。仕事後に夕食をつくるのはただただ面倒だ。冷蔵庫に生で食べるには熟しすぎたトマトがあるのでカットして皿で量った水といっしょに鍋にうつして火をつける。
何味にしよう。もう一度冷蔵庫をあける。
大阪王将の餃子のたれが四袋くらいあったのでもうこれでいいや。
そしたら出汁は中華出汁だよな。適当に煮立てて、思いついたので黒胡椒をたっぷりいれる。
できました。え、どうしよう。おいしいんですけど。
酢醤油と黒胡椒の中華トマトスープとでも呼べばいいんだろうか。酢と胡椒の効いた酸っぱ辛いスープに旬のトマトの甘さが引き立つ。
天才。そうなのかもしれない。
翌日。やはり恋人不在だけどトマトはあるのでスープにする。
今日はより中華らしく麻辣の味付としよう。
花椒も粗挽きにして加える。
どうしよう。やはりおいしい。ビリビリと痺れる辛さのなかに生の食感を残したトマトがやはり甘く輝く。私は天才で舌が馬鹿のねじれ状態にあるのかもしれない。
恋人がいないときの料理は妙においしい説、ある。