へもか

憶測以上の確定未満

文鳥たちと暮らしはじめました

五月の最後の土曜日に自由が丘の鳥獣店で二羽の文鳥を買った。

一年くらい前から文鳥を飼いたいねという話は夫としていたけど、鳥を飼うことに決心がつかないままだった。トノコ以上の鳥はいないから、私はトノコがどこにフンをしても何を壊してもどんなに水浴びが下手でもかわいかった。
おなじように他の鳥がかわいがれるのかとても自信がなかった。

ところが私が思っていた以上に夫が文鳥との暮らしをたのしみにしていて、そんな人と鳥の出会いを私が妨害するのはちがうなとおもった。

夫も私も衝動ではいけない(鳥は衝動を起こさせるほどかわいい)ので、見かけた時は一度通りすぎて次の土曜にまた鳥獣店を訪れた。やはり二羽がいてうれしいと同時に、なんというか、もう観念するしかないなって気持ちだった。

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部屋にやってきたとき。こわがってなかなかボール紙の箱から出てきてくれないけど、気長に待った。強気なのに臆病なのは鳥らしいよね。

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一週間待たせたおかげで二羽はさし餌をほとんど卒業していて、日に三回で大丈夫という話だった。おかげで平日も昼休みに会社から戻ってさし餌するだけですくすく成長してくれた。

母とかわるがわるトノコにさし餌をした五月の連休を思い出していた。

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さし餌でおなかいっぱいになって肩でうとうとしているところ。

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はじめて水浴びをしてくれたとき。教えてもいないのに水浴びが上手で、とても洗えているように見えなかったトノコを思いだして彼女はやっぱりかわいかったしこれを見たら上達したのかなと思ったりもした。

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水浴びをしたらすぐに眠くなってしまったところ。
水浴びで疲れてしまって弱っているのではないかと不安になる。すくなくとも幼鳥のときはちょっとしたことすべてがネガティブなシグナルに見えてなにかしらの不安がある。

どんなに可愛がっても、愛情をもって育てても、死ぬときは死ぬ。ずっと緊張がある。

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ケージの床に敷いている紙がオモチャとして人気。

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昨日できなかったことが今日はできる。一日ごとにできることが増えていく文鳥たちの成長にうれしくなる。

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二羽は兄弟ではないと聞いているのだけどほんとうによくくっついていて、健康診断に行った病院でも仲が良いですねと言われうれしくなった。

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夫のシャツを裂いてホヨヨボールもどきを制作した。二羽とも徐々に慣れて同時に入ろうとして揉めるほど気にいってくれた。人間は感謝しかありません。

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夫の腕のうえでワイワイしている二羽。

夫は鳥どころか動物を飼うこと自体が初めてだというのに、私以上に真剣に文鳥に接している。それに応えるように二羽も夫に懐いている。

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手の上で鳥が寝てくれる以上のしあわせを人類は知らない。

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はじめての日光浴。最初はびっくりしてホッソリしちゃったけどすぐに慣れてウトウトする子と得意そうな顔をする子。

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はじめてのとうもろこし。
ひとりずつ渡してもなぜか一粒を奪いあって遊んでいる。かわいい。

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来たときからそれぞれだなと感じていた二羽の性格がハッキリとわかってくる。
慎重なのに不器用な子と大胆で器用な子。どちらもかわいい。

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ケージにつけたバードバスで水浴びしてくれた。
このバードバスは箱状になっていて上部カバーに水滴がつくせいか音が反響するせいか、なかなか慣れるのに時間がかかっている。

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それぞれのペースで過ごせるようにケージを分けたけど、なるべく近づける位置にいることが多い。いっしょにしたほうがいいのかなって迷う。こういうのは正解がない。

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小鳥のオヤツとして売ろうとおもって種から育てたオーツ麦が無事実った。

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(ワアー、食べた!)心のなかで歓声。
実際に騒ぐと文鳥たちをこわがらせてしまうだろうから無言のまま満面の笑み。

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自分が文鳥をそれも二羽飼うとは思っていなかった頃に蒔いた種から育ったオーツ麦を、おいしそうにムシャムシャ食べてくれる。この記憶を走馬灯にしよう。

二羽のことはすぐにでも書きたかったのだけど、鳥の雛は死ぬときは死んでしまうのでこわくて書けなかった。三週間を過ぎてそろそろ大丈夫かなと思ってやっと書けた。

健康で長生きしてほしい。飼い主はそのためになんでもするよ。がんばるね。

世界平和は銭湯からはじまる

ひさしぶりに銭湯へ行った。

疫病が流行しているので、大きな声の会話は控えるよう貼り紙された銭湯は静かで広くて天井が高くて、湯気が立ちこめて無言の裸のひとがそろりそろりと行き交い、静謐で荘厳ですらあった。教会*1みたいだ。

露天風呂へ行くとまだ霧雨が降っていた。湯船に顎のしたまで浸かって、湯気と雨粒が混ざりあったまだらな温度を顔で感じていた。これが気持ちいいから露天風呂はいいよね。

室内へ戻る。浴槽のふちにデンと腰掛けているひとに気を取られつつカランの前へ移動する。だいたいこの銭湯は照明設計がすこぶる良い。私のいる体を洗う空間は見やすいようダウンライトで明るく照らされているけど、浴槽の側は照度をグッと落として湯船でくつろげるよう薄明るく設定されている*2

肉厚でまろやかな直方体のような背中はその薄明かりに照らされてちょっと哀愁を漂わせていた。長年支えてきたもの、背負ってきたもの。いま銭湯にひとりで来ているこのひとは裸の背からそれを降ろして一息ついている。私とはちがうものだろうけどあなたも私もここではほんのひととき解放されている、そう思うと共に戦っているひとを見たような、そういうひとがいくらでも存在するんだということに気づいて気持ちがまるくなる。

銭湯から出るとだいたい世界平和は銭湯からはじまるんじゃないかって気持ちになっている。行きに着てきた上着は身体がぽかぽかでもう着られなかった。

 

*1:教会行ったことあるのかという話だけど、建築学生だったなごりで建築に行きたい一心で新旧の有名無名の宗教施設を見学したため一般的な無宗教の方よりは経験値があると思われる。

*2:この設計者は湯船で過ごすってことをよく分かっている。明るきゃいいってもんじゃない。実家の風呂は浴室の照明を消して脱衣所の明かりだけで湯船につかっているのが好きだった。

生活とSF

五月一日

ラーメン屋で塩ラーメンを食べていたら薬味にシソがほんのすこしだけ混ぜられていた。シソはほんのちょっとでも噛むと爽やかな香りがフワッとひろがっていいアクセントになる。もしトッピングが自由だったらネギはなしにしてシソだけにするな、というくらいよかった。いやしかしそれではこの塩ラーメンとしてのバランスは、調和は、失われてしまうのではないか。一部の機能が突出した最高レベルであるより、各機能が統合され調和した人間が理想像とされるように。意外なことに現在の人工知能はこの各機能の統合を完全に模倣することはできていない。人工知能は人間とはまったくちがう調和を見つけるのだろうか。まあ、シソはこの量がいいんだろうな。

ひさしぶりにピザがおいしかったのでちゃんと記録しておこう

強力粉100%の生地もっちもちじゃん

強力粉: 180g
ぬるまゆ: 100g
塩: 7g
砂糖: 4g
ドライイースト: 3g
オリーブオイル: 6g

ボウルに塩と砂糖を量りいれてぬるまゆ(イースト菌が死なない程度に)を注いで溶かす。強力粉を半分だけ入れて菜箸でよく混ぜる。

粉、分けていれて混ざるんか、と不安だったけど分けたほうがイーストがまんべんなく全体に混ざったように思う。

混ざったところにイーストとオリーブオイルを加えて残っている強力粉のさらに半分を入れて菜箸でまたよく混ぜる。

まとまってきたところで残りの強力粉を入れてボウルの中でぐいぐい押しつけるようにして粉っぽくなくなるまで混ぜる。まないたに取り出して二十分くらい捏ねて、すべすべになったら三つ(約100g)に切り分けてまんまるに丸めて発酵へ。

 

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具材は適当に。ミニトマトは十字に切り目を入れて握りつぶして種を除いたら、重量の1%の塩を振り混ぜておく。

もろもろ切ったり揚げたり和えたり、材料は揃った!

 

魚焼きグリルでちょうど焼ける生地は100gだった

ご家庭でもっとも高温で調理できる魚焼きグリル(300度)で焼くため、納まるピザの直径は180mm程度。100g程度にしておくとちょうどいい厚みになる。

もっと大きいピザが食べたいけど焼けないピザは食べられない。


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生地を伸ばすときフチにする部分は触れない

フチに発酵時のガス残しておいてふっくら焼いちゃおうという作戦。

まるめて発酵させた生地を打ち粉したまないたに取り出して、表、裏、ひっくりかえして両面に粉をまぶす。中心からぐいぐい押して伸ばす。

あたりまえだけど、発酵後に生地がきちんとまるいほど綺麗にまるく伸ばしやすい。生地はちゃんとまるめよう(どんなでもいいと思っていた)。

 

魚焼きグリルでいっきに焼こうとしない

生地を伸ばしおえたあたりで魚焼きグリルの火を最強で点火。グリル庫内の予熱を開始。クッキングシートのうえに生地を移動させて具材を載せていく。

すべて載せたら熱くなったグリルへ。今回はサラミを載せるのを忘れた。


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フチがふっくら膨らみところどころ焦げ、チーズがグツグツしかかったくらいでいい。

魚焼きグリルで完全に火を通そうとすると生地が焼けるより先に乾燥して硬くなってしまうのだ!
ここでグリルからピザを取り出そう。

 

フライパンとガスバーナーで仕上げる

ピザを魚焼きグリルにいれた頃、私はコンロでフライパンを熱していたのだ。ピザをクッキングシートごとグリルからアツアツのフライパンへ移動させ、シートだけスライドさせて取り外す。

私の部屋のグリルは上火しかなく裏面は焼けていないのでここからフライパンで裏面を焼く。おもむろにガスバーナーを点火。同時に表面の焼きが足りないところをゴーッと焼いてやる。


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生地を乾燥させずに裏面にもまずまずの焦げめができた。全体に火が入ったとおもう。

 

残った具材は混ぜればサラダになる

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残っちゃったトマトとスライスオニオンとオリーブ、ぜんぶ混ぜればなんとかなる。

 

課題

  1. 具材から出た水分が気になる
  2. トマトソースおいしくしたい

1.はモッツァレラチーズの水抜きをきちんとやってみる。今日はチーズを割いて絞ったけど、直前すぎたのでもっと時間をかけてみようかな。

今日はトマトソース、というかトマトピューレ塗っただけで塩すら忘れていた。具材にあわせてニンニクとかオレガノも使いたかったな。

おいしいおいしいと夫はよろこんでくれてうれしかったのでまた焼くぞ。

 

続々・ドライヤーをしているあいだに考えていること

ドライヤーをしているあいだに考えていること6

濡れたままの髪で椅子に座っていたら髪を乾かすよう夫に言われたが、この髪型は濡れているときに毛束感があっていまがいちばんサマになっているんじゃい!と思った。

 

ドライヤーをしているあいだに考えていること7

金曜日に部屋で映画を観たくてレビューを読みながら映画を選んでいたら「頭カラッポで観れる」というのがあり、小難しいのは観れないなという気持ちだったのでちょうどいいなと再生した。

結果、それはただ脈絡もなくバカをつづける頭がカラッポなだけの映画だった。

それで気づいたんだけど、私にとって「頭カラッポで観れる」というのはほとんど最高の映画に与える評価だった。観ている最中に「ハァ?」みたいな違和感に襲われることなく身を委ねられる映画。それが頭カラッポで観れる映画だ!!!

なにひとつ破綻するなというわけではない。テンポや演出が良いだけでたぶんコロッと騙されてはいる。

具体的に例をあげると「LEGO®ムービー」、「LEGO®ムービー2」。これはほんとに頭はカラッポ、口は半開きで観れる。「スパイダーマン: スパイダーバース」も色彩と動きに飲み込まれて他のことを考えている余地がない。「雨に唄えば」もちょっと観なおさないと自信はないけど、もう我を忘れて観ていたはずだ。

ちなみにロマンチックな映画といえば「フォードvsフェラーリ」だと思っている。あれはロマンのかたまりです。

会社休みます

クッソオオオオーーーッ!!!みんなDaft Punkが解散したとかで「あのときのライブ見れてよかった〜」とか思い出話しやがってーーーッこっちはまだ思い出ないから解散しないでくれーーーッ!!!これから作っていこうぜーーーッ!!!イヤダーーーッ!!!ウワーーー!!!会社休みますーーーー!!!祝日だったーーーー!!!!在宅勤務だけどーーーー!!!!ああああああ!!!!!

褒められたりはしゃぎたい

 

二月七日

ケーキ屋さんへのんびり自転車を転がしていたら、歩道を仲良く走る二人の小学生男子としばらく並走することになった。二人の会話を聞きながら信号待ちで抜きつ抜かれつしていたが、踏切で完全に並んだ。

ひとりが宣言する。
「じゃあ、野菜な」
「よし、ズッキーニ」
「ニラ」
「らっきょう」
「ウンコ」

はやい。さすが小学生男子、四単語目でもうウンコ。ウコンでもよかったのではないか、と思ったけどそうするとンになる。しりとりに負けてしまう。そうか、もうウンコしかない。ウンコが野菜だって言うなら今度からおまえのサラダにウンコいれるからなって。たのしそうだった。

 

二月十九日

仕事の関係でずっと髭を剃ってしまっていた夫の顎にひさしぶりにラフに髭がはえていた。ひさしぶりだったので、え、こんなに髭かっこよかったっけ、とどぎまぎしていた。あまり長時間見つめるとバレて剃られてしまうかもしれないので、視線をスッと外してちょっとずつ見ていた。

 

二月二十一日

何年もかけて設計を担当していた商業施設の室内緑化の工事も大詰めを迎え、事業主立会いの完了検査を実施していた。とくに複数フロアのエスカレーターが交差する大きな吹き抜けは見せ場で、年中なにかしら花を咲かせてほしいとリクエストされた華やかな空間。

検査時に葉しかなかったらまずい。とっさに見渡すとあちこちでスモークツリーがふわふわと揺れて、アガパンサスが薄紫の大きなまるい花をポッポッと空中に突きだしていた。よかった、十分だろう。

事業主もニコニコでやっぱり植物があるといいね。ええ、そうですよね。かわいいですよね。とくにこのふわふわが気に入ったな。スモークツリーといいます。いいねえ。いいねえ。

と、和やかな完了検査が終わったところで目が覚めた。私が考える理想の完了検査だった。実際の完了検査は問題箇所の指摘確認の場でただねちねちやられるだけ。できたもので褒められたりはしゃぎたい。その欲望をそのまま夢に見てしまった。