へもか

憶測以上の確定未満

近所のとんかつ屋

おいしいと聞いていた近所のとんかつ屋へ行った。空いている席へ勝手に座り、せかせかとやってきたお母さんにロースかつ定食をお願いする。持ってきた本を読んで待つ。

白いコック服のお父さんが厨房で作業している。

お母さんがせかせかとやってきてコンコンコンと、器が机に置かれていく。

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とんかつにタルタルソースはいらないけど、ポテトサラダがあるとうれしい。

しっかり水は切られているけど、ふかふかでみずみずしいキャベツ。刻んだシソが添えられているキャベツは信頼できる。

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やさしめのサクサク衣に歯切れの良いやわらかな肉。ああ、日常的に食べられるテンションのとんかつだ。近所に好きな店が増えるとうれしい。

2021年の目標50

2021年のテーマ

テーマはここ数年かわらず、品(ひん)です。

謙虚、ノリの良さ、ユーモア、根気、年齢相応の落ち着き、いろいろ欲しいものをまとめて、「品がいいかどうか」を基準にすれば判断しやすいと分かりました。

 

2021年の目標

  1. 平日朝ごはんを食べられる時間に起きる
  2. 帰宅したら手洗いうがいiPhoneの消毒までを習慣にする
  3. 夜にシャワーをスキップするのは4回/月まで
  4. シャワーを浴びたあとに保湿を怠らない
  5. 唇の保湿も忘れない
  6. かわいいパジャマにかえる
  7. 行ったことのない美容院へ行ってみる
  8. 行ったことのないパティスリーへ行く
  9. 自転車に乗って行ったことのない場所へ行く
  10. 4回/年以上ギャラリーや美術館や博物館へ行く
  11. 友人を増やす/夫の友人に会う
  12. 友人を遊びに誘う(断られてもいい)
  13. 妹と話すときに雑な口調で話さない
  14. やってくれないことではなく、やってくれることにフォーカスする
  15. つらいときに観る映画をリストにする
  16. 食材を腐らせない/冷凍する
  17. 月初めに包丁を研ぐ
  18. ベッドの下にあるダンボールを片付ける
  19. 休日でも午前中に化粧をおえる
  20. あたらしいメイクを試す
  21. 月末にペディキュアを塗りなおす
  22. ファッションにスカーフを取り入れてみる
  23. シャワーを浴びるまえに体重を記録する
  24. 体脂肪を23%まで絞る
  25. 毎朝起床即プランク
  26. 自転車で30km/day走る感覚を取り戻す
  27. スクリーンタイムを平均3hrs/dayに減らす
  28. 25時を過ぎたらiPhoneを見ない
  29. 毎朝日経電子版の気になった記事ひとつでいいので読む
  30. 昼休みにFeedlyに目を通す
  31. 図書館で本を借りる
  32. 図書館に本を返す
  33. 100冊/年以上本を読む(読みかける)
  34. 4回/年、本の感想をブログで文章にする
  35. 買った本の余白に書き込みながら本を読んでみる
  36. 買った本の索引を自作してみる
  37. 「外からみる台所」をzineにまとめる
  38. ペン字の練習を1冊やる
  39. だれかに手紙を書く
  40. スケッチかパースの練習の目標を見つける
  41. 造園施工管理技師の資格を取る
  42. 二級建築士の勉強を開始する
  43. 水曜日の夜に1時間でいいので勉強時間を確保する
  44. 仕事メモを毎日更新する
  45. 課のミーティングで自ら情報を共有する
  46. 観た映画の記録をFilmarksにのこす
  47. 家族の誕生日祝いを誕生日当日までに贈る
  48. 小鳥のおやつ(アワやヒエ)を妹の庭で生産し販売する
  49. エアコン内部を洗浄する
  50. 結婚指輪を買う

 

 がんばるぞ

 

kondoyukoさんの2021年の目標100がおもしろかったので、同じように目標をあげました。ほんとうは100にしたかったのですが、50が限界でした。

それでも50あげようとするとフワッとした目標では数が足りないので、いきおい具体的にならざるをえず、結果的に達成したかどうかあとからチェックしやすくなりました。

最低4回/年はふりかえってみようと思います。

いろいろたいへんだけどできるとこから良い年にするぞ。

ねばりづよさ

ある物件で、造園の設計も担当しているゼネコンの設計者と打合せをしていて、どうもやりたいこととやっていることが合っていないようなので、こうしてみたらどうでしょうと事業主から設計を見てやってくれと言われあいだに挟まれた悲しいサブコンとして提案すると、そういう造園のよくあるの、今回はやりたくないんです、と静かにでも固く押しかえされ、たとえば建築でよくある屋根や床、今回はやりたくないんです、と門外漢が言いはじめたようなもので、なぜそれがよくあるのか、知識もなければおそらく興味も持たない中年がどのツラさげて言うのか勘弁してくれ、と虚空を見つめながらすくなくともこの設計担当は自分のやってみたいことをやってやるという欲望があって、私はそういった欲望を実現へとコントロールする能力もなく熱意すら忘れがちでそれって設計者としては死んでいるのではないか、と内臓が溶けて椅子を伝って赤黒く流れ落ちる思いだったけど、今後設備や近隣要望との調整も必要になりますので要検討にしましょうとねばりづよく交渉する上司があたりまえかもしれないけど、人間としてできている、と感心するのだった(447文字)。

食事と生活 8

十一月二十八日

サイゼリヤに行こう、と友人夫妻とその娘ちゃんと約束していたので向かう。サイゼリヤでフルコース風に注文をするとすごくたのしい。

サイゼリヤと言えば、学生の頃に映画を観たあと映画の感想を言いあったりしながらドリンクバーを頼りに過ごす場所、くらいのイメージしかなかった。でもそんな語るほど夢中になれる映画に出会っていなかった気がする。自分の好きな映画を見つける方法が分からなかった。

あの頃、何を観ていたんだっけ。

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注文はイナダシュンスケさんのコースを元にしました。

 

十二月一日

昼前からはじまった打合せが長引いた。昼食を求めて会社の外に出ると冷たい風が心地良い。コンペのプレゼンが明日に迫り、朝食を食べる時間に起きられるはずがなく、昼はコンビニのパンかコンビニのパンをレンジで温めてもらったもの、まともな夕食もとらず寝ている平日の生活に気づきドッと疲れを感じた。

火で。火で調理されたもうもうと湯気の立つ食事をとりたい。とらねば。

行ったことはないけど、福しんはちゃんと火で炒めたチャーハンを作ってくれる気がする(火で炒めないチャーハンを出す店ってあるのだろうか)。線路を越え会社最寄りの福しんへ向かった。

 

十二月四日

水曜にコンペが終わり、やっと金曜。気持ちは閉店していたのに帰宅は二十二時。

コンペ中は会社では夕食も間食も食べられず、日付変更線を越えて部屋に帰っても食べると寝る体力がなくなりそうで味噌汁等で空腹を紛らわしてベッドにはいっていた。

もう限界だ。私にも食べたいものくらいある。今日はカレーだ。ぜったいスープカレー。冷蔵庫を開ける。大根と牛蒡と玉葱と納豆。ミニトマトは萎れちまった。

大根と牛蒡と玉葱を切って全部鍋で炒めて納豆もドン。

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適当にスパイスを入れて水となにかの出汁の粉と塩で煮えるまで煮る。力任せだ。こっちはどうしてもスープカレーが食べたいから必死だが、納豆も徹底抗戦の構え。ガラムマサラを追加して捻じ伏せにかかるが、まだ足りないか。ブラックペッパーを小さじ半ほど投下し鎮圧した。

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こうしてよくわからないスープカレーができた。

私としてはよくぞここまで鍋を制したと思ったが、一口味見してくれた夫は何も言わなかった。人の食べているものにけちをつけない。本当に上品なひとだとおもう。

あ、結婚しました。

キャッツ

高校三年生の私のクラスは文化祭でキャッツのミュージカルをやった。

文化祭では展示かパフォーマンスかミュージカルをクラスごとに選ぶ。とくに決まってはいないのに一、二年生がミュージカルを選ぶのは無謀な挑戦、というか生意気とされていた。

高校をなめくさっていた私はろくに友人もいなかったので、文化祭だろうがなんだろうが学校で過ごす時間をわずかにでも増やしたくなかった。家に帰ってベランダにエサを撒いてカゴを立てかけたクラシックな罠にスズメが引っかかるのを待ちながら、クラッシュバンディクータイムアタックをやっていた。

クラスの彼女たちの大半は驚くほど真剣にミュージカルに取り組み、歴代の先輩たちのキャッツをビデオで学び(担任の教師がちゃんと持っている)、発声から歌、踊り、演技と練習に打ちこむ。

私は三人いる照明係のひとりに決定した。

照明は面白かった。ミュージカルを生かすも殺すも照明や音響にかかっている。シーンやメインになるキャラクターをふまえて照度を決め、少ないカラーフィルムからスポットライトの色を選び、フィナーレに向けて盛りあげる全体に流れのある感動的な照明計画を練りあげた。

私のキャラクターに照明が合っている、と出演者自身に言われたのがうれしかった。あれはリハーサルだったか。

文化祭当日。緊張と興奮で泣きだしそうな空気のなか幕があがり、彼女たちは歌い叫び足を鳴らして踊った。私は照明卓を離れ、スポットライトを握りステージを見た。ほかの二人が間違えて照明計画はボロボロになっていて流れもなにもなかったけど、ステージは輝いていた。

いま思えばごく普通の人間がミュージカルをやるチャンスは二度とない。私は高校生活を見下していたけど、あそこで全力で取り組んだ彼女たちのほうがよほど大人だった。

できることに全力で取り組むたのしさを分かっていた彼女たちが、思いだすたびに勝手に輝きを増していく。

振動するいなり

明日の早朝の移動が面倒で、現地近くに前日入りしておくことにした。恋人はまだ仕事から帰らないので顔を見ないまま部屋を出た。パートナーと話すことだけに意味があるわけじゃないとしても、私たちは平日はあまりに話さない。平日は互いに疲れている。疲れていることを言い訳にしている。

駅のホームですれちがう人に帰ってくる恋人がいるなら見落としたくなくて、次から次に現れるスーツの男性を目で追った。こんなにたくさんの他人の顔をまじまじと眺めることもあまりない。ホームにいなくても改札なら、改札を出たら、JRの改札なら、会えるんじゃないかと思っていたけどそんなうまくはいかなかった。ただの人混みだった。

品川で豆狸のいなりを三つ買う。

新横浜に向けて減速する新幹線の振動で、最後のひとつになった黒糖いなりが小刻みに震えている。

夜中に包丁を研ぐ

ひさしぶりに砥石を出して包丁を研いだ。

夜中に包丁を研ぐのはなんだか縁起が悪そうだけど、なんといっても夜中に包丁を研いでいるとかならず山姥のことが頭をよぎる。子供の頃に布団のなかで読んでもらうお話に、姉弟のだれが選んだのか覚えていないけど山姥の話があった。本を手にした母は手際良く話を進めた。旅の途中、土砂降りに襲われたところ老婆に洞窟へ招かれて過ごす夜を。シューッ、シューッという擦れる音に目が覚めて。光る包丁を砥石に当てたまま振りかえる山姥のおそろしい顔が。子供心に、寝るまえの読み聞かせとしてこんなに真に迫る必要ありますか、といったことをおもったけどそういう語彙をもたなかったので話が終わっておとなしく寝たとおもう。山姥がいると信じるような年齢ではなかったが、類するものがもしも存在する場合は逆撫でしたくなかったので舐めた口はきかなかった。