へもか

憶測以上の確定未満

ねばりづよさ

ある物件で、造園の設計も担当しているゼネコンの設計者と打合せをしていて、どうもやりたいこととやっていることが合っていないようなので、こうしてみたらどうでしょうと事業主から設計を見てやってくれと言われあいだに挟まれた悲しいサブコンとして提案すると、そういう造園のよくあるの、今回はやりたくないんです、と静かにでも固く押しかえされ、たとえば建築でよくある屋根や床、今回はやりたくないんです、と門外漢が言いはじめたようなもので、なぜそれがよくあるのか、知識もなければおそらく興味も持たない中年がどのツラさげて言うのか勘弁してくれ、と虚空を見つめながらすくなくともこの設計担当は自分のやってみたいことをやってやるという欲望があって、私はそういった欲望を実現へとコントロールする能力もなく熱意すら忘れがちでそれって設計者としては死んでいるのではないか、と内臓が溶けて椅子を伝って赤黒く流れ落ちる思いだったけど、今後設備や近隣要望との調整も必要になりますので要検討にしましょうとねばりづよく交渉する上司があたりまえかもしれないけど、人間としてできている、と感心するのだった(447文字)。