読みおえました。
IUT理論というのは宇宙際タイヒミュラー理論のことで、あのABC予想を解決するという画期的な理論です。それを300ページ足らずで理解することができるならすごい。ABC予想を解決するため、IUT理論では異なる数学の正則構造を持つ宇宙を複数用意して宇宙をつなぐ必要があり、こういうタイトルになっている。
まとめると何を言っているのか分からなくなってしまうけど、数学に詳しくない読者に数式をほとんど使わず理論ひとつを説明してみせるのは読んでいておもしろい。技術的な数式にはほとんど触れず、基本思想の解説に限られるので数学ガチ勢は物足りないかもしれない。
実際、IUT理論を解説する本ではなく、IUT理論の衝撃を解説する本だと書いている。
IUT理論の衝撃を語るために本一冊書いてしまった。読む"興奮したオタクのとっちらかった話"といえばいいのか、ひとつの解説をすこしずつちがう表現で繰りかえす奇怪な文章で展開される。
へえって思うかもしれませんけどね、実際に読んでいると、数学界異端のヤバイ集会にまちがって踏みこんでしまった気分。繰りかえしの説明が親切だとも言えるけど、さっきの文章となにか違うのかなと戻って読む作業を繰りかえすことになるのでけっこう疲れる。
第8章(266/297ページ)にして、
この本の内容も、いよいよ佳境に入ってきました。
じゃねえんじゃ! 進行管理どうなっとるんじゃ! しまいにかかれや!
どこに連れていかれるのか分からないこの文章はもはや滝沢カレンさん。数学界の滝沢カレン*1。
IUT理論を無事説明できるのか、最後までスリルに満ちています。
*1:さすがにおかしいだろと思ったら、イベントでの講演を書籍化したものだと最後にネタバラシがされました。