へもか

憶測以上の確定未満

転職日記

下書きにずっと保存していた四年も前の転職日記、公開するつもりはなかったんだけどだれかの息抜き程度になれば。

 

160903

転職エージェントと面談。
担当者と確認事項のほか疑問や不安を話し、そこから基本方針と期限を決めて動けるようにした。もうこれだけで緊張した。

履歴書や職務経歴書を書きながら、自分がどうしたいのかを考えていた。
自分がしたいことのために何が必要で何が不必要なのか、自分に何ができて何ができなくてどこに助けがほしいのか。履歴書や職務経歴書に書けないそういうことをメモしていたら面談で聞きたいことになったので箇条書きにまとめておいて質問した。 

以前ひとりでやった転職活動とは違い、転職エージェントを利用するなら転職の幅を広げる助けをしてほしいと思った。現在の自分の経験や能力を鑑みて、小さな同業種の会社へアピールするシナリオは描けるけど、大企業と他業種へは売り込むのは足掛かりさえ分からない。他業種へ志望範囲を広げないと転職できないのではないかと感じはじめていた。現職である業種以外への転職は妥協だけど、何が最優先なのか考えたら後悔しない妥協だと決めた。

何が最優先なのかというと、笑われるかもしれないけど、東京で生活することなんです。いまは遠距離になっている東京の恋人と一緒にいられる時間を増やしたいんです。

先々どんな変化があったとしても私の選んだ仕事は私のやりたい仕事であるべきで、そのモチベーションとは別だけども。

担当の方の率直な発言や過不足のない助言は好ましく思った。あまり他人に整理して不安を白状することがないのでこの面談は良かった。堂々巡りしていた悩みごとを小さく切り分けて課題にできたことも大きかったけど、それ以上に私も他人に落ち着いて不安を白状できるのだということに妙にホッとした。

堂々巡りから自由になったようで気持ちが軽くなった。

 

 

160905

転職サイトの求人票をひたすらスクロールする。
自分の専門としている業種の都内の求人は少ないのか私の検索が下手なのか一桁しか見つからないけど、それに関してはそんなに悲観的ではなくてあたらしい業種にチャレンジする機会になるかもしれないと思う。そんな機会がもらえればだけど。

面談のときにアドバイスをもらったので職務経歴書を修正する。

意気込みや熱意がまったく書かれていないので追加したほうがいいとのこと。
ほとんど自信を感じていない自分で自己PRを書くのはまったくの苦行だけど、面談で話した経歴からアピールできるポイントを担当の方が箇条書きにしてくれたので、「他人がそう言うなら」というやや人任せなかんじで書くことができた。

自己PRが苦手なら他人に経歴を話してまとめてもらうといいのかもしれない。

 

 

160909

職務経歴書をまた修正。

求人票を見て良さそうなものに応募する。書類の通過率は20%程度だと聞いているのであまり期待しないで待つ。

 

 

160913

通勤中に書類選考で1社落ちたとメールで連絡をもらう。
社名を見てもどんな会社だったのかパッと思いだせなかった。

さらに昼休みに希望していた業種のS社という会社で書類通過したとメールをもらう。二度見した。面接の日程調整もスムーズに決まり、23日に一次面接になった。

 

 

 

160915

連絡があり書類通過の会社はS社とK社の2社になったけど、じつは両方とも契約社員
契約社員として上京したが契約更新してもらえず無職、そして転落、というありきたりなストーリーが脳裏に浮かぶ。不安しかない。不安しかないが、不安がっても仕方がないので準備をしようね、と自分を宥めすかして動かす。

面接に向けて、履歴書、職務経歴書ポートフォリオ(作品集)の準備。

企業研究するうち、自分の希望や経験と重なった特徴を志望動機として書き、浮かんだ疑問は質問事項として別で箇条書きにして進める。できるだけ機械的にやりたい。

 

 

160916

書類選考でいっきに4社落ちる。現時点で9社しか応募していないので、まずい。転職は複数同時で進めて比較すると良いと転職エージェントにアドバイスされていたのにいきなりまずい。

候補を増やすためにも自分で調べた同業種のP社へ応募しよう。こちらは同時に作品集も送りたいので手間がかかりそう。

 

 

160917

どうにも企業研究に時間がかかるので、妹にコツを聞いた(妹は卒業後留学して新卒一括採用をパス、帰国後に転職エージェントを利用して就職している)。
妹のアドバイスにしたがい企業研究をGoogleドキュメントで箇条書き、それをもとに履歴書を書いた。

未経験業種もけっこう応募しているんだけどひたすら書類で落ちる。

 

 

160918

23日のS社面接前に履歴書と職務経歴書を送付してほしいと連絡がきたので速達で送る。

「履歴書は自筆のほうが印象が良いようです」、という転職エージェントのアドバイスに素直に従って手書きした。印象の良し悪しはおいといてさ、同じ文でも印刷された文字より肉筆のほうが内容が頭にスッとはいってくるところあるよね。あれ不思議だよね。

 

 

160919

面接質問事項に関するメールが転職エージェントから送られてきた。読んでいると心臓がバクバクうるさくなって手から血が引いて冷えていくのにジットリと汗がにじむ。
つまり緊張している。メール読んだだけで!

他の転職サイトで見つけていたP社の企業研究が済んだので応募する。

 

 

160921

水曜日なので休日、引き続き面接の準備。

美容院に行って伸びた毛先をカットしてボブに揃えてもらう。
ポートフォリオを収めるためのドキュメントフォルダを購入。卒業設計と直近の仕事を作品とした。スーツとおなじブランドのカットソーも買って面接に備える。

準備ばかりでしんどくなってしまうので気晴らしにHIGHTIDEのタープポーチを買った。ネットでちょっと欲しいなと思っていたのを手にしたら気に入ったので。

帰宅後、転職エージェントからメールでもらったS社の面接対策用の事項を埋めて送信。19日にメールをもらってから結局3日かかってしまった。送信はしておいたけど23日の面接前に転職エージェントからの返信は間に合わないだろう。埋められたというだけで自信になったのでよし。

 

 

160922

S社面接前日。なんと昨日送った面接質問事項の受け答えを転職エージェントがブラッシュアップして返信してくれた。仕事早くてありがたい。面接前にみっちり読みこもう。

面接通過できる気がしないのでさらに3社応募、これで13社になった。面接通過できなくても大丈夫大丈夫、と自分に言い聞かせる。

仕事後、ばたばたと夜行バスに乗り込んで東京へ向かう。まるきり昔の上京物語のようで笑う。

 

 

160923

14時、S社の一次面接。会議室のドアの前、2回深く呼吸(芝居じみていて恥ずかしい)したけどノックのために握った手が動かない。(せーの)と口をうごしてやっとノック、「どうぞ」の声で扉をあけたら人が4人も並んでいたので笑った。事前連絡では人事部長と事業部長だけの面接だったけど、配属される可能性のある課の代表が3名全員参加してくれるとのこと。今回の募集での採用に前向きと感じられてどちらかといえばうれしい。

事前に準備してきたので自己紹介と志望動機とこちらからの質問事項は安心して答えられた。こちらのやりたい仕事、あちらの考える適性を互いに確認できたので、結果はどうあれ良い面接になったと思う。

 

半年前の転職活動での面接中も「(採用なんて)無理だ無理だ無理だ」で頭がいっぱいだった。面接のゴールは採用獲得ではなく、互いに判断材料を得るためのコミュニケーションだと考えたら多少テンパらなくなった。私のできることやりたいことを正確に伝えて、企業側の条件や環境を知ることに集中すればいい。
こういう面接ができるなら転職活動を続けられると思った。そういう意味でも転職活動復帰一発目に良い面接になった。めでたしめでたし。

予定通りきっかり1時間で面接は終了。待合せした恋人とのんびり過ごそうと約束していたのに完全に気が抜けてしまって上の空だった。しかし休まった。

 

 

160924

面接を終えて感触や懸念点を転職エージェントに報告。
選考継続を希望する場合は転職エージェントが選考通過に向けて企業側にプッシュしてくれるとのことなので早めに「第一もしくは第二志望です」とメールを送る。
面接で直接聞かなかったこと(残業時間、契約社員から正社員登用の実態、給与)を転職エージェントに聞いてもらって回答をもらった。こういうのは本当に助かる。

 

 

160926

一次面接を終えたS社側の印象を転職エージェントに教えてもらう。なかなか好感触だったとのことで自分の実感と大きく違わないことにホッとする。面接結果はまた後日。

応募した自動返信メールに「こちらからまた連絡します」と書かれていたので油断していたら、1週間放置してしまっていたP社にこちらから電話した。

電話のあとメールがきたが、メールで名は名乗らなければ署名もなく、私がネットで公開しているポートフォリオサイト(もちろんアドレスを伝えている)を「印刷して送付してください」と言うし(てめえで印刷すればよくない?)、すでに嫌なとこばかりが目につく。こまかいとこに噛みついても仕方ないけれどそういう気配りのセンスが一致しない人と働くのは結構つらいんじゃないかと思う。

 

 

160927

S社から一次面接通過と二次面接の知らせがきた!
仕事中に連絡を受け取って興奮のあまり意味もなく席を立ち上がってしまい、喉も乾いていないのに水を取って席に戻り飲んだ。セルフまずは君が落ち着け。

10月7日の10時から役員面接と筆記試験が決定。筆記試験の数学なんていまさらできるかしら。ちょっと準備したほうがいいな。

 

P社には履歴書と職務経歴書ポートフォリオを送った。
郵便局によってはゆうゆう窓口というサービスがあり24時間利用できるということをじつは初めて知った。

 

 

160928

今日は水曜日なので休日。

S社の二次面接の適性検査に備えて試験問題に挑戦してみる。
この手の試験は、企業と応募者の両方に試験問題とその対策を売ることのできる人材サービス会社の画期的な"商品"でしょ、となめくさっていたが試験があるからには仕方ない。やってみたらほとんどクイズだったのでなんとかなるかなと思った。世界史や日本史や地理がなくてよかった(歴史と地理が壊滅的に苦手なのだ)。

 

 

160930

採用担当者が体調を崩したのでと連絡があって選考がストップしていたK社から、一次面接の案内がきた。K社はオフィス空間の設計が主な業務で、設計であることは歓迎だけどインテリアには興味がなくてあまり情熱がないのだけども。
新卒時にここのグループ会社に書類でハネられているので、今回書類が通ってしまったのは何かの間違いかもしれない。面接行ってみたら鼻で笑われておめおめ泣いて帰ることになるのかもしれない。むちゃくちゃこわいな。

 

P社には送付した書類が届いたはずだが一言も連絡がない。こちらは真剣にやっているのにどういうつもりなんだろう。仕事内容には興味があるけどもう断ろうかなぁ。

 

 

161001

ひとつのウェブサイトで紹介されていたSPI3の対策問題はひととおり解いた。できればちがうとこでもう一周して軽く確認しておきたいのだけど。

2週間前にS社の面接を受けてから力が抜けないのか、疲れが溜まっている。普段より多い6時間は寝ているのに眠い。ストレスには鈍感で解消も得意だと思っていたけど、好きな本や映画に集中できない。面接の準備を放置して他のことをしていていいんだろうかって不安になってだらだら緊張を引きずっている。

 

 

161003

K社の一次面接の日程が6日10時に確定したと転職エージェントからメール。
7日のS社の二次面接と並べたので今回は一往復で二社の面接ができて経済的に助かる。が、準備は忙しい。

S社の二次面接は役員面接だけど何を準備したらいいのかよく分からない。
役員面接をする役員の目的はなんだ、目的の分からない面接はこわい。こわいままでまともにできる気がしないので、相手の目的を想定しよう。
調べてみて、役員は現場を離れているので仕事に関する実際的な質問より、価値観や人間性が社風とフィットするか抽象的な質問をされるという話にいちばん納得した。自分の長所短所や今後のキャリアプランみたいなものの要点を押さえて具体的に話せるようにしよう。

 

 

161004

明日からの三連休を申請、宿泊先の手配、新幹線の予約を済ます。
一次面接のK社に提出する履歴書を書きあげる。結局、面接のたびに履歴書を書いている。どうせ面接に向けて準備するのでおなじ手間だけどさ、手書きは時間がかかる。

合間に恋人が会ってくれるというのでうれしい。スーツ以外の服は何を着ようかなと考えながら退勤。

 

 

161005

朝、ゆっくり起きて二泊三日の荷物を詰める。予定通りの新幹線に乗って東京へ。新幹線で明日面接のK社の書類を見直すけど、どう話しても設計業務への意欲はあってもオフィスやインテリア設計への意欲にはならなくて弱いなぁと思う。

恋人と待合せして食事にいったりおいしいケーキを食べたりコーヒーを飲んだりほとんどいつもどおりに過ごす。たのしかった。

寝るまえにベッドで書類だけ読みなおした。

 

 

161006

アラームを止めたら9時前、起きれてよかった。まずはK社の一次面接。
品川駅で降りて徒歩数分、こんなところで本当に働くことになっちゃったらちょっと笑っちゃうくらい似合わないけど可能な限り平然と歩く。現職の会社の隣はイチジク畑だよ。

面接はあまりに順調すぎて何もとっかかりがなく、落ちたな~と思いながら面接の机についていた。落ちたついでに恥はさらしておこうと作品集を取りだしたら、設計したもの(実現しなかったけど)をおもしろそうに聞いてもらえて楽しかった。でもこの内容は学生的なモノで転職を希望している会社員のレベルじゃないな、と話しながら思った。60分の予定だった面接はサッパリと45分で終わってやはり最後まで手ごたえはなかった。

宿泊先に戻ってスーツを着替えて出掛けた。
電車に乗っていたらさっき受けたばかりのK社の一次面接通過の知らせがきたので首を傾げた。お互いミスマッチだったと思ったのに。それでもチャンスはあるだけ欲しいので最終面接の日程希望を送信した。

もしK社とS社の両方の内定をもらったとしたらどちらにするか、あるいはどちらも辞退するのか、たいして考えていない。そもそも考えるに足る情報を集められていないのかもしれない。

寝るまえはベッドでやはり書類だけ読みなおした。明日はS社の役員面接。

 

 

161007

10時、今日はS社の役員面接および筆記試験。

まずは筆記試験から。準備万端だから余裕ですよ、ニンマリしながら問題用紙を開き国語を解く。続いてとりかかった数学は、まったく時間が足りなくて焦りまくってほとんどまともに解けなかった。きっと正解は30%以下だ。

まさかいまさら頭が悪いせいで落ちるなんて!
しかしちょっと無視できないレベルの頭の悪さを記録してしまったので不採用決定だろう。役員の方たちはこの点数を知ることなく面接に来るであろうことだけがせめてもの救いだ。超ド級のバカであることを面接まで引きずる必要はない。堂々と面接してしまえ。と、すぐ荒れそうになる平静を必死に取り戻した。

筆記試験は絶望的な結果でありこの面接はまったくの茶番だと考えると何も気負わなかったので心から微笑むことができ過去最高に和やかな面接になった。準備してきた内容も役立ったので調子良く話せた。

面接を終えてS社を出たところで起動したiPhoneがすぐにメールを受信。不採用通知って速いんだな…と思いながら見たらぜんぜん関係ない菓子メーカーK社の書類選考に落ちたという知らせだった。残念!カラ△ーチョ企画してみたかった!と思って笑った。

面接後にできることもないのでやはり一日遊んだ。

帰りの新幹線を待って品川で飲んでいたら「【祝】S社より内定通知書が届きました」というメールを受信したので一緒にいた恋人にiPhoneの画面をそのまま見せて報告した。テーブルに置かれていたビールグラスがおめでとうの乾杯のために持ちあげられ小さく音を立ててまたテーブルに置かれた。

うれしい。でも正直この内定を受けるべきかはかなり悩む。

 

 

161008

S社内定の回答期限は10月11日、待たせるのは心象が良くないかもしれないけど私が冷静になって考えるには時間がいる。

すでに何かを交渉できる段階ではないだろうから、だれかに相談しようにも相談する意味のあることが残っているとは思えない。泣言を漏らすだけになっちゃう。
結局は自分ひとりで決めることだ。ひとりで決めるのは苦しいけど同じくらい自分のことを自分だけで決められる自由が嬉しい。

休みを潰して準備をして面接を受け、そのプレッシャーから切り替えられなくて疲れが溜まって、移動と外泊の費用に少ない貯金を削られていって、目の前にぶらさげられた内定をけっとばして先の見えない転職活動を私はつづけられるかな。この一時の辛さからあがりたいために内定に飛びついていつか後悔するだろうか。

内定もらってからのほうが苦しいとは思わなかった。

 

 

161010

やっと内定受理の旨をメールした。
満足/不満なことを紙に書きだして考えた。

満足なこと
・いまもやっている続けたい業種の設計職であること
・いまより大きなスケールの事業に携われること

不満なこと
・給与が安いこと
・残業が多いこと
契約社員採用であること

私の現状の経験と資格のなさを考えるとS社よりいい条件の設計職に就くのは難しいんじゃないか、さいわいやりたい仕事であるし30代前半まで十分な経験と資格を蓄えて、そのときに不満があればあらためて転職活動をすればいい。今続けるより可能性があると結論づけた。

結局、若干多い年収や休日のためにいまやっている業種の設計職はまだ辞めたくなかった。自分でも思っている以上にこの業種が好きなんだというより、まだこの世界をよく知らないうちに辞めたくないと思った。

転職エージェントは入社するまでをサポートしてくれるとのことで、退職交渉のアドバイスもメールしてくれた。退勤する電車で読んだけどなかなか大変そう。うまくやらなくちゃ。

 

 

161011

信じられるか。出社したら引継ぎの後輩の退職が決定している夢を見た。

 

 

161013

昼休みに急いで退職願をしたためる。緊張して二度も"退職"と書き間違えてしまい笑いながら便箋を丸めた。顔って。

退職願と書かれた封筒を手に持ってみたけどドラマみたいで可笑しい。

ありがたいことに退職願はスムーズに受け取ってもらえて希望通りの日程で退職できることになった。やりたいことがあるならやらないとな、と社長。
急に解放されたような自由になった気持ちでいっぱいになった。やっと実感が湧いてきた。私、東京で働くんだわ!(上京物語っぽく)

 

 

161014 

父に転職を決めたことを報告した。経済的に自立できるなら好きな仕事をすればいい、とのこと。金銭的に親孝行できる日は来ないんじゃないかと思う。

父よ、娘は好きな場所で好きな仕事をして勝手にしあわせになります、という親孝行でしばらくは許されたい。