へもか

憶測以上の確定未満

恋人がいないときの料理

ひさしぶりに恋人がいない。仕事後に夕食をつくるのはただただ面倒だ。冷蔵庫に生で食べるには熟しすぎたトマトがあるのでカットして皿で量った水といっしょに鍋にうつして火をつける。

何味にしよう。もう一度冷蔵庫をあける。

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大阪王将の餃子のたれが四袋くらいあったのでもうこれでいいや。

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そしたら出汁は中華出汁だよな。適当に煮立てて、思いついたので黒胡椒をたっぷりいれる。

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できました。え、どうしよう。おいしいんですけど。

酢醤油と黒胡椒の中華トマトスープとでも呼べばいいんだろうか。酢と胡椒の効いた酸っぱ辛いスープに旬のトマトの甘さが引き立つ。

天才。そうなのかもしれない。

 

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翌日。やはり恋人不在だけどトマトはあるのでスープにする。

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 今日はより中華らしく麻辣の味付としよう。

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花椒も粗挽きにして加える。

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どうしよう。やはりおいしい。ビリビリと痺れる辛さのなかに生の食感を残したトマトがやはり甘く輝く。私は天才で舌が馬鹿のねじれ状態にあるのかもしれない。

恋人がいないときの料理は妙においしい説、ある。

メモから

山手線に乗っている。布のマスクをした頭髪の薄い中年男性が扉のまえに仁王立し外を見やっている。連れの女性に話しかけられて、「外を見てる。街がどうかわったかなと思って」と宣ふ。どちらさまなのか。

会社からの帰り道、お腹が空いてコンビニに寄りそうになるとき。なにも食べるなと言い聞かせるより、「明日の昼に食べよっか」と延期すると自分を騙しやすい。もちろん翌日も延期される。

凡の人たる自分は欲望に向き合うこともなく、何もかもごまかして先延ばしにして、ただ老いていく。結びを「老いていく」にするとだいたい虚しい。価値観が、若さや新しさにぎゅうぎゅうに縛られているせいか。様々なものに想像も及ばない様々な価値があります。価値観こそ柔軟で良いはずなのに、もう音が硬そうだ。カチカン。

また電車。隣に座ってくれるなとばかりに空いた三席の真ん中に座って大股を広げていた若い男性。その暗黙のメッセージを察して座ることを選ばない比較的まともな人は寄りつかず、メッセージを感知しないやや無神経であろう高齢者が横に座り仕上げに新聞を広げるのだった。ぎすぎすした空気がわずかに流れた気がした。

若い彼が隣大歓迎という空気を醸すことができていたらハッピーエンドだったのだろうか。やや無神経なひとにはなにも関係ないだろうから結局バッドエンドだろうか。とはいえバッドエンドというほどバッドではない、というかエンドもしていない。

図書館が復活したので本を借りて読む生活を取り戻した。

「未来をつくる言葉」「しらふで生きる」「ヒトはなぜ笑うのか」「ツァラトゥストラかく語りき」「プレイ・マターズ 遊び心の哲学」「精神と自然 生きた世界の認識論」「小さな空間から都市をプランニングする」をひとまず借りている。

 

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ピザトーストコレクション2020SS

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ベーコン、アボカド、モッツァレラチーズ

大振りでボリューミーなベーコンをアクセントに。端からこぼれるチーズのナチュラルなムードがおうちタイムにぴったり。


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サラミ、たまねぎ、青唐辛子、モッツァレラチーズ

透け感のあるタマネギで上品なサラミ見せ。チーズに浮かんだ脂の鮮かな光沢感はぜひとりいれたいキーマテリアルです。


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ウインナー、青唐辛子、黒胡椒の塩漬け。

カジュアル感のつよいウインナーも薄くスライスしてあしらえばエレガントにまとまります。ウインナーのスモーキーな香りに黒胡椒を重ねてアップデート。


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パンチェッタ、たまねぎ、青唐辛子、黒胡椒の塩漬け、モッツァレラチーズ

ぜんぶのせちゃたい。そんなときは迷わずぜんぶのせ、レイヤードスタイルをたのしんで。合わせたときの塩分には要注意です(塩っぱかった)。


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生姜、オリーブオイル、しらす、葱、しそ、モッツァレラチーズ、山椒。

ベースをトマトソースから生姜とオリーブオイルにアレンジ。トーンを揃えた具材でシックなコーディネートにはガリッと山椒を挽いて遊びをプラスして。

続・ドライヤーをしているあいだに考えていること

ドライヤーをしているあいだに考えていること3。

中世ヨーロッパの父親あるある。
罪人の処刑シーンから目をそらすな、と息子に教える。

 

ドライヤーをしているあいだに考えていること4。

なぜ中世ヨーロッパを舞台にしたドラマには罪人の処刑に立ち会う父と息子のシーンがよくあるんだろうか。

  1. 衝撃的なシーンで話題性をつくりたいから。
  2. ドラマの世界観と親子の関係性を一度に語ることができて便利だから。
  3. 果たして殺されるべき罪人だったのか、という謎を残すことができるから。

 

ドライヤーをしているあいだに考えていること5。

美容師さんは自分で髪を切った客を「ダメじゃないですか〜」と叱るのはもうやめにしてほしい。まず私の髪だから切るのはとくに禁止されていない。ダメなのは本人もよく分かっているから美容院に来たのであって、せっかくなら具体的にダメ出しして欲しい。まあ、でも私もおかしな剪定をされた樹木を見ると苦言を呈したくもなるので、

「いまどきイヌのほうがましな毛並みしてますよ」

と一言食らわせたあとでも構わないので改善点を教えてほしい。この髪はどうやって切ったら良くなったんだろう。切るのがちょっとたのしくなっている。

ドライヤーをしているあいだに考えていること

ドライヤーをしているあいだに考えていること1。

ネーブルを切るより良い向きについて。
できるだけあのやっかいな白い内袋が口に残らないと感じられるカットがあるのではないか。つまりネーブルは縦に切るべきか、横に切るべきか、どちらだろう。縦に内袋とおなじ方向に切ると内袋が長く残るから、内袋を噛み切る必要があり結果的に内袋の不快感が残る気がする。横に切れば内袋は半分の長さにカットされるのでほとんど噛むことなく、ネーブルの甘くたっぷりした果汁をたのしめるはずだ。

ドライヤーが終わったら切り比べよう。

 

ドライヤーをしているあいだに考えていること2。

先日ホウレンソウのバターソテーをつくるため葉のみをはずし食べた。残った茎を束ねて冷蔵庫にしまっている。

いま茎だけのホウレンソウは根を切られ葉を失い、暗く寒い冷蔵庫でおそらく待っている。また根を生やし水を吸いあげ葉を広げて光合成する機会を静かに待っている。それまでは体力を温存すると決めている。ちょうど葉がなくなったから蒸散はかなり防ぐことができるのでまだしばらくは耐えられる。しかしとにかくここは暗い。まぶしかった畑の日差し。

そんなふうにホウレンソウが考えているとしたらかわいそうな気がしてきた。オリーブオイルで炒める予定。

 

 

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ちなみにネーブルは縦に切ったほうが良いとおもう。

横に切るとヘタとシリをつなぐ白くて硬い芯が切り分けた身のなかに紛れてしまった。食べるときに噛み切れないくらい硬く口に残って最悪だった。縦に切り分ければ中心にあたる部分を面取りするようにすこし切り落とすことで除去できる。

内袋がすこし長くても噛めばいい。

睡眠と生活 3

四月某日

ゆでたまごを縦に半分に切ったら片側に黄身が寄り、反対側は白身を汚すようにわずかな黄身が残っているタイプの悪夢を見た。

 

五月五日

趣味の水槽がバランスを崩してコケだらけになってしまった。なにがいたんだっけと覗いてみるとフグとアンコウと二匹のヒトデ、エビが数匹泳いでいる。コケを食べる生きものをいれなかったんだ、失敗したなと考えていたらヒトデが動くと一緒にコケがごっそり動いた。ヒトデってコケやすいんだと知るタイプの夢を見た。

 

 

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手前が暗くて奥が明るい

きまってハッとする雰囲気というものがある。
その雰囲気から景色を抽出したら、「手前が暗くて奥が明るい」要素が得られた。

写真に残しているいちばん古いものは二〇十三年四月(fig.1)だった。ユースホステルにひとりで泊まった翌朝、顔を洗いに向かった洗面所がすごくきれいだった。

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fig.1 知多半島ユースホステルの洗面所

この「手前が暗くて奥が明るい」空間の良さは、照明計画等を学んだひとなら知っているであろうサバンナ効果に起因するのではないかと考えている。

サバンナ効果というのは、手前より奥の空間を明るく照らすことでひとに興味喚起と安心感を与えるというもの。岩と岩に挟まれた暗く狭い空間から先に明るい山道が見えたらホッとするしまぶしい緑がなんとも美しく見える(fig.2)

f:id:rintaro113:20200430011842j:imagefig.2 岩と岩の間を抜ける山道 

f:id:rintaro113:20200430011655j:imagefig.3 明るい踊り場と暗い階段

明るい踊り場までは進むだろうけど、その奥の暗い階段も登りたいと思うだろうか(fig.3)。ちょっと怖い、というかなぜ蹴込みから自然光が差しているのか、この階段はなんなんだ。

撮り集めた写真を見ていると似ている良さがありながら、すこし違うかな、という景色も集まる。分かりやすいものを集めた(fig.4)

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fig.4 似て非なる景色

景色というより撮りかたの問題だけども、これらは写真の構図によるフレーム効果が大きいように思われる。

フレーム効果というのは、なんかしらをフレームと捉えて奥行きを強調し被写体を際立たせる撮影のテクニックで、上に並べた写真はそのように考え撮影した(たぶん)。

サバンナ効果とフレーム効果、この二つを分けているのはなにか。それは暗い空間自体の広がりが写されているかどうかにある。個人的な印象だけど、フレーム効果は被写体とフレームという二枚のペラッとしたレイヤーが並べられているように感じられる。

それに対しサバンナ効果は暗い部分に空間の広がりを持たせる。

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fig.5 明るい空間に対しフレームになってはいるが通路のように奥行きをもつ

明るい空間は一枚のレイヤーに描かれているような奥行きを感じさせない、フレーム効果とおなじ写りだが、暗い空間には廊下や階段といった広がりのある空間だと分かるようにすこし引いた位置から撮られている(fig.5)

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fig.6 竃が暗すぎて空間の広がりが分からない

実際に手前に暗い空間を残していても、真っ黒につぶれていると広がりが認識できないためフレーム効果の印象を受ける場合がある(fig.6)

以下、手前の暗い空間がいかに演出されているかに着目すると自分の好みが分かるかもしれない。

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f:id:rintaro113:20200430011540j:imagef:id:rintaro113:20200430011648j:imagef:id:rintaro113:20200430011549j:image
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fig.7 奥からの素直な明るいグラデーションが表現されている

数では奥からの素直な明るさのグラデーションを持つものが多い(fig.7)。しかしその景色の類い稀な美しさにかわりはない(LOVE)。

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fig.8 手前から明るさのグラデーションができている

珍しいけど手前に明るさが出てしまうときもある(fig.8)。これは数が少ないので話をするのがむずかしい。

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f:id:rintaro113:20200430011554j:imagef:id:rintaro113:20200430011907j:imagefig.9 側面からの明るさによるグラデーションが感じられる

側面からの強い光もまた良い(fig.9)。不意を突かれるかんじ? 見慣れていたひとの横顔に見惚れるかんじ?

f:id:rintaro113:20200430011717j:imagefig.10 屋根面と左右の壁面に奥の明るさが写りむやばい景色

三面に明るさが写り込んでいる、ほぼ東急プラザ表参道原宿に通ずる(fig.10)。これやばくないっすか。

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fig.11 床面の反射による強いハイライトに広がりを感じる

とくに私が好きなのは手前にハイライトをもつパターンである(fig.11)。すごく特別なかんじがする。

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fig.12 写真が下手

階段という高低差の先に明るい空間があるのも良い(fig.12)とおもったが、階段の段鼻が見えないので高低差や奥行きが分かりづらい。手摺だけが光っている。

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fig.13 上からの光だ

奥が明るいのは明るいのだけど、奥の上からの明るさが感じられる(fig.13)。ほとんど教会のような神々しさだ。

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fig.14 グラデーションなし

ほぼグラデーションがなく、明暗のコントラストがバツッとついている場合(fig.14)も良い。明るい空間がぽっかりと登場する異質な印象が強調される。

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fig.15 手前が暗くて奥が明るい、が二度繰り返されている

見つけたときはあまりのことに心臓が跳ねた「手前が暗くて奥が明るい」が二度繰り返されている景色である(fig.15)。ときめかずにいられない。

たくさんの「手前が暗くて奥が明るい」をまとめてみて満足した。これからもいろんな景色を撮ろう。