へもか

憶測以上の確定未満

食事と生活 6

六月二十六日

すでに時刻は二十七日になったけど、まだ二十六日。

ここのところの仕事の忙しさに擦り切れて帰り道に吉野家へ寄った。

並を持ち帰りで、と伝えたらシートに座って頭と目を休ませようと目を閉じて壁にもたれていた。うっすらとした眠気に身を任せていると、調理場からはシューシューと汁の煮立つ音や器のぶつかる硬い音が聞こえて、客席のテレビから流れているワールドカップの中継とまざると家のようだった。

私のために食事が用意されている。その物音を聞きながらまどろんで思いがけず安らいでいることに気づくとすこし惨めに感じた。

 

六月二十九日

ゴールデンウィークはずっと都内だったので仕事に一区切りつけて実家へ戻った。

その日の夕方に大学時代の友人とその赤ん坊のところへ遊びに行った話を母としながら、母の用意しておいてくれた夕食を器にうつして食卓に並べていく。食卓はまえよりピアノのほうへ寄せられていて、どの椅子に座るべきかすこし迷って腰を下ろした。

母の煮込みハンバーグはおいしい。酸味のきいたトマトソースで、つなぎにパン粉を入れたらしいやわらかなハンバーグを煮込む。なんとなく煮込みハンバーグは冬の料理のように感じていたので、昼間の蒸し熱さが残る初夏の夕食にはすこし場違いに見えた。